【奈良】室生山上公園 芸術の森 / 彫刻家 ダニ・カラヴァンと室生

奈良県、神々の坐す 信仰の地、室生に

奈良県の東、三重県との県境付近に位置する宇陀市 室生区(旧室生村)にある、室生山上公園芸術の森のことをお伝えします。8月、まだ山の色が濃く、シダが生い茂る、緑豊かな季節です。

ここ室生地区は女人高野(1872年まで女人禁制だった寺がある中、女性の参拝・修行が許されていた)として知られる室生寺があります。またその奥には龍神様にゆかりのある、室生龍穴神社、妙吉祥龍穴などがあり、古代より千余年の信仰と歴史のある地です。

そんな室生の里山にある室生山上公園芸術の森。
室生村の地滑り対策を兼ねた公共事業と芸術の融合を目的として2006年に竣工しました。
室生寺や太陽信仰、そしてその歴史ともに関わりをもたせた公園は、その園全体が風景彫刻としてデザインされています。里山に新しい息吹をもたらした広大な敷地の中、自然を体いっぱい感じながら、イスラエル出身の彫刻家、ダニ・カラヴァン氏のこの地と一体化したアートを鑑賞、体感することができます。

 

土地と自然に寄り添う芸術

点在する彫刻作品たちは、そのもの一つ一つの存在や造形の美しさ面白さもさることながら、この室生の里山と驚くほど大胆な形で調和しています。
時にダイナミックに、時に静かにしんしんと、時に神秘的に、時に光に満ちた神々しさで、自然に畏敬の念を抱いて。リズムがあって、自然の音とも呼応して、まるで一体となって音楽を奏でているかのようでした。

一見、自然と相反する鉄も使われた作品群。この彫刻と自然が織りなすアートを、この地と不協和音なく自然に五感で受け入れることができるのは、作者の意図にもあるように、空、太陽の光、山々、土、木、草、水、風の音、鳥の声、が全ての作品に宿っているからかもしれません。

それは、
この地に元々あった水田(棚田)の地形を活かした湖、水との造形。
水面に映し出される樹々の緑、空の青、造形物の茶褐色の混ざり合う水面。
風が通ると、さらに幻想的になる水面の波模様の揺れと森の樹々のざわめき。
造形物越しに見る、森の木々の美しい連なり、山の起伏や樹々の連なりから形作られる空の形、
茶褐色と木目のアートが刻む緑とのリズムのような造形、
太陽の光、歴史感じる、時の道しるべ。
それらの関係性は、コラボというよりは 織り物のように、一体となっているよう。まさに風景が彫刻された芸術の森。

この地の自然を、このそれぞれの美しい彫刻作品を通して 感じることは、この地のこと…樹々を、山を、空を、宇宙を、歴史のこと…を、よりプリミティブに深く理解できるよう導いてくれているかのようで。 そして さらに このアートたちの存在、そのアシストがあることで、自然に対する感性が高まり、より感覚的になれるようにも感じます。

作品が物語る、ダニ・カラヴァン氏の 日本や室生の地、その歴史を含めた理解の深さ、そしてこの地、自然、芸術への愛は計り知れません。洗練され削ぎ落とされた 造形美はさることながら、その深い理解からくる表現の深さにも感動しました。

人が土地のことを地理的に歴史的に深く理解し、その土地を、自然を愛し、本気でその地や自然に寄り添って造った芸術。その情熱と底力を感じました。

歩いて、見て、触れて。体験型のアート。

波の拡がり 弘法の井戸と共に
井戸の神聖さを感じると共に、波が押し寄せてくる錯覚が生まれました。

 

螺旋の水路
渦巻き状に水が流れるそうです。まるで龍の通り道のよう。
そして山々の前にポツンと立っている一本の木。この光景が美しく神秘的で息をのみました。幻想的で美しかったです。

螺旋の竹林
太陽光、そして光と影について意識させられます。

 

第2の湖・天文の塔・太陽の道
室生寺に隣りあい、北緯34度32分上(太陽の道)に建てられた天文の塔。
この太陽の道には 古来より、 神島、伊勢神宮、室生寺、長谷寺、二上山、仁徳天皇陵、伊勢の墓、またそのほかにも古墳や寺社が置かれ、太陽信仰と深い関わりがあるそうです。

 


天文台には登れるようになっていて、公園や山の風景を違った角度から望むことができます。ちょっと高いけれど、お子さんも楽しめそうです。

作品は、美しい木目と茶褐色のコールテン銅の対比が美しいです。
コールテン銅とは、塗装しないむき出しの風合いながら、あまり錆に侵食されにいという強みがあり、逆にその錆の質感、味を楽しむことができる素材とのことです。この自然な錆の色味や質感も手伝って、周囲の景色と違和感なく繋がりあっています。

 

棚田の再現

 

第一の湖、(3つの島)、観覧席
元々水田だった自然の地形を活かして、地滑り対策の集水池として作られたそうです。

ピラミッドの島
鳥の島
ステージの島 神殿のような。

音楽フェスなどのイベントも開催されているそうです。

 

イスラエルの彫刻家、ダニ・カラヴァン  (Dani Karavan)

設計、デザインは、イスラエル出身の彫刻家、ダニ・カラヴァン  Dani Karavan (1930ー)氏。都市や周囲の景観を作品に取り入れるスケールの大きい作風で知られています。

代表作に、

「ケネヴ記念碑」(1968 ) イスラエル / ベルシェバ
「キカール・レヴァナ(白い広場)」(1988) イスラエル / テル・アヴィヴ
「大都市軸」(1980)フランス / セルジ・ポントワーズ
「人権の道」(1993)ドイツ / ニュンベルク
「パサージュ ヴァルター・ベンヤミンへのオマージュ」(1994)スペイン / ポルト・ボウ
「隠された庭への道」(1999)北海道 / 札幌芸術の森野外美術館
「マアヤン(喜び)」(1995)宮城 / 宮城県美術館
「ベシレート(初めに)」(2000)鹿児島 / 霧島アートの森   …など

彼がデザインする上で最も大切にしているコンセプトが、

作りだされた形だけでなく、場所のもつ全ての要素、すなわち光、水、空気、気、風、土、木々、鳥の声など、その全体が調和すること

(出典:室生山上公園 芸術の森 園内 施設棟でいただいた資料より)

この想いは、この公園でもいかんなく発揮されていることが感じられます。

この作家さんの感覚、とても好きだなーと感じました。
他の作品のある場所へも 機会あれば足を運びたいです。

山の存在が神聖さを増す

園内は丁寧に整備されていて、歩き方に 2通りのコースがあります。一方は芝生やほぼ平坦な明るい遊歩道を歩くコース、そしてもう一方は、森との境目を林の中を歩くコースです。後者の林の中の遊歩道は苔むしがふかふかで、樹々と光の美しさにふと息を飲む瞬間がありました。
一歩内に入ると森の入り口です。深い森が口を開けています。
そのためか、神社仏閣のある神聖な土地柄からか、人が少なかったからか…公園のところどころ、空気がシュッとしているような厳かな印象を受けます。まるで神社にいるときのような心持ちになりました。






とても神秘的な空間でした。

そして トンボやバッタの楽園でもありました。
季節が感じられることも嬉しいです。


室生山上公園芸術の森

住所 奈良県宇陀市室生181番地
アクセス
電車
近鉄室生大野口 下車後 バスで20分の室生寺前下車、徒歩1km
名阪国道 針I.C.より13kmもしくは小倉I.Cからやまなみロード経由15km
開演時間

4月〜10月…10:00-17:00
3・11・12月…10:00-16:00
※入園は閉園時間の30分前まで
観覧料   大人400円 高校生200円 中学生以下無料
休園日   毎週火曜日(祝日の場合はその翌日)、12/29〜2月末日
※天候によって臨時休園する場合があります
website 室生山上公園芸術の森

北入口、施設棟にトイレ、自販機と休憩できるスペースがありますが、園内に飲食店はありません。
少し離れた室生寺近くに甘味屋さんや飲食店が数軒あります。


ビジターセンターや施設棟のデザインも景観に溶け込んでいて素敵でした。

南入口 ビジターセンター

北入口 施設棟

 

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA